<東西すごい人 セックス伝>江戸幕府で最もセックス好きだったのは十一代将軍徳川家斉でしょう。そのおかげで文化文政年間は、空前の好景気に沸きました

2019年08月05日 21時00分

歴史作家・早見俊氏が、洋の東西を問わず歴史上の人物たちの性に関するエピソードをいろいろと紹介していくこのコラム。歴史に興味がある人はもちろん、そうじゃない人も楽しめること間違いナシですよ。

 

江戸時代、将軍の夜伽を務める側室たちは常に監視の目に晒されていました。次の間に侍女が控えていたのです。セックスの最中、側室が将軍におねだりをしないよう見張っていたのですね。側室は辛かったでしょうが、侍女も男女の戯れを目の前にして、高まる性欲を抑えるのが大変だったのでは。我慢できず自慰に耽ったり「上さま、わたくしにも一夜のお情けを」などと3Pに及んだ侍女がいたかもしれません。

こうした監視下のセックスを大いに楽しんだのが十一代将軍徳川家斉です。家斉は十五歳で将軍となりました。少年でしたから、幕政は老中首座の松平定信が担いました。定信は家斉の生活にも口を挟みます。質素倹約を課し、セックスにも厳しい制約を設けたのです。やり過ぎを諌めたばかりか、体位は正常位のみとしました。特に騎乗位は厳禁です。男優位の時代、セックスにおいても女性が男の上に座するなどもっての他と定信は考えたのです。定信は家斉が騎乗位で楽しんでいないか侍女に監視させていたかもしれません。

ストイックなセックスと暮らしを強いられた反動でしょうか。定信が老中を辞し、歳を重ねると家斉は抑えていた欲望が爆発、生涯を通じて四十人もの側室に五十五人(五十三人という説もあり)の子供を産ませました。当然、大奥の暮らしも贅沢を極めます。家斉はセックスライフを満喫しようと精力剤のオットセイやアザラシのペニスの粉末を欲しました。家斉の命で公儀御庭番はアザラシ、オットセイのペニスを求め、北の海に赴いたのでした。

 

 

家斉時代、老中の重要な役目は数多の子供たちを大名たちへ養子入りや輿入れさせることでした。その役目に最も成功したのが水野忠成で、彼は大きな権勢を誇ります。家斉の厚い信頼の下、貨幣改鋳で幕府財政を豊かにし、家斉の豪奢な暮らしを支えました。商人たちは潤って賄賂が横行したものの、文化文政年間、江戸は空前の好景気に湧きました。家斉のあくなき性欲、すなわち、「イエナリセックス」は「イエナリノミクス」という経済政策となっていたのかもしれません。(早見俊)

■早見俊(はやみ・しゅん)1961年、岐阜県生まれ。サラリーマンを続けながら作家活動をし、2007年から作家に専念。主な著書に「居眠り同心影御用」(二見時代小説文庫)、「大江戸無双七人衆」(新潮文庫)、「千代ノ介御免蒙る」(双葉文庫)などのシリーズ作品や、岐阜市、徳間書店とコラボした歴史小説「うつけ世に立つ 岐阜信長譜」がある。「第6回歴史時代作家クラブ賞 シリーズ賞」を受賞。

《東スポ 男セン》

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